カピバラの備忘録

アニメと音楽と読書など。少し自分の考えをまとめて見たい気分になりました

「月がきれい」 気ままに13話

月がきれい 13話

春、新学期。
小太郎は市立高校、茜は光明高校に入学して間もなく1ヶ月が過ぎようとしていた。
部活動は当然、文芸部と陸上部。
4月はお互い新生活の忙しさで結局逢えずじまい。
少し寂しさの募るふたりだけど楽しみは夜のLINE。学校のこと、部活のこと、新しい友だちのこと…。

茜が引っ越していった日の夜、小太郎は「明日、会いたい」と茜にLINEした。
返事は「わたしも会いたい!」

翌日、小太郎は茜の住む街へ。


せっかくの日に泣いてしまったこと。引越の日、見送りに行けなかったこと。「13.70」を読んだこと、電車を追いかけて橋まで来ていたことなど…。

新しい家の整理などが残っているため、それほど長い時間一緒にいられたわけではなかった。けれど、小太郎はどうしても直接伝えたかった。

小太郎「好きだ。これからもずっと、かわらない。大好きだ」
茜「私も大好き。小太郎くんのこと」


そして4月から大型書店でアルバイトを始めた小太郎。
平日は週2回の夕方から3時間、土曜日は8時間。大変だけど本に囲まれた仕事は結構楽しめる。
そのせいでまた勉強しなくなったから母親の小言は多い。けど、小説を書いていることについては何も言わなくなった。

親戚から貰った入学祝いがあるので、交通費くらいは何とかなる小太郎だけど、
茜「あまり無理しないで。私は大丈夫だから」
小太郎「了解! 距離は少し遠いけど、いつも想っているから」
本当は毎週でも逢いに行きたい。けれど…
でも茜の気持ちに負担をかけすぎてはいけないと思い言われる通りにしていた。

そしてもうすぐ給料日。
小太郎は早速GWに行こうと思っていたのだが、茜の通う光明高校は陸上の強豪校、部活に休みはない。
仕方なく小太郎もGW中はバイトのシフトを入れることに。
店長「安曇君、助かるよ。この時期休みを入れるバイト君が多くてさ」
小太郎「いやぁ、そんな…。別に予定ないんで」

その夜のLINE。
茜「なかなか会えなくて、ごめんね」
小太郎「いいよ、いいよ」「とりあえずバイトしたり、小説書いてる」
茜「ありがとう」
小太郎「部活ってどう、慣れた、きつい?」
茜「うん、やっぱり高校はちがう感じ」
小太郎「そっか、無理しないでね」
茜「ありがとう」

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もうすぐ逢える。そう思うと嬉しくてなかなか寝付けないふたり。

そしてGW明け、最初の日曜日。
午前9時、茜の住む街の駅で待ち合わせ。
ここまで来るのに約2時間掛かる小太郎のために都内で待ち合わせしようと言った茜。
でも茜の住む街をもっと良く見たいと言う小太郎の希望を優先した。

待ちきれず約束の時間に20分早く着いた茜。するとすでに小太郎が待っていた。

茜「おはよう」
小太郎「おはよう」
茜「小太郎くん、待った?」
小太郎「いや、なんか、約束より早く来ちゃった」
茜「私も…。じっとしていられなくて…」
小太郎「うん、俺も」
茜「なんか…久しぶりだね」
小太郎「そうだね」
笑顔のふたり。

茜「小太郎くん、背伸びた?」
小太郎「少しだけ…。茜ちゃんも雰囲気変わったかも…」
茜「そうかな」
小太郎「うん、きれいになった、と、思う…」
茜「ありがとう…」
赤くなるふたり。

近くの公園を歩く。
LINEや電話はしたけど、直接話すのは約1ヶ月半ぶり。話し始めると、いろんなことを思い出して気持ちが高揚してくる。

その後、ファーストフード店でお昼。
茜「眠くない?」
小太郎「あぁ、全然平気」「…ウソ。結構眠い(笑)」
茜「やっぱり(笑)」
小太郎「バイトが結構忙しくてさ、土曜日は夜までだし」「あと眠れなかった」
茜「私も」

「そういえば、千夏は元気?」少し不安そうに尋ねる茜
小太郎「元気そうだよ。クラスが違うから、話をすることは少ないけど」
茜「そっか…、時々LINEはくるけど」
小太郎「全然、心配しなくて大丈夫だから」
「うん」と言って、ようやく明るい表情を見せる茜

小太郎「練習はどう?」
茜「みんな凄くて、もうついて行くのがやっと。でも頑張る、好きだから」
小太郎「大会って今月末だよね。見に行こっかな…」
茜「…うん。待ってる…」

茜のことだからダメと言うと思っていた小太郎は少し驚いた表情で
小太郎「えっ、いいの。やった…」

茜「でも、お父さんとお母さんも来るから…、見つからないようにしてね」
少し恥ずかしそうに小太郎にお願いする。

話は尽きない、もっとこのままでいたい。だけど…
小太郎は茜の明日の練習のことを気遣い
茜は小太郎の帰りの電車の時間を気遣い
駅へ向かう小太郎と茜のふたり。

小太郎「じゃ再来週、応援に行くから。競技場で」
茜「うん、待ってる。私、頑張るから」

電車から手を振る小太郎。
名残惜しそうに見送る茜。でも淋しさはない。
大好き。そしていつでも逢える。それがふたりの気持ちだった。

その頃、茜の家。晩ご飯の支度をするお母さんと彩音
彩音「茜、朝早くから出かけたけど、彼氏とデートなんだって?」
お母さん「そうみたい、彼氏ってどんな子か知ってる?」
彩音「ほら、去年の春、ファミレスで挨拶した同級生がいたじゃない」
お母さん「へえ〜、あの子。なんかおとなしい感じの男の子だったわよね」
彩音「それが、お母さん。実は結構ねぇ…」


お母さんは話を聞いてびっくりした様子だけど、なんだかニヤニヤ。
詳しく話を聞きたいけど、ままならない微妙な顔のお父さんでした。

…13話 終わり

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月がきれい」ロスになってます(笑)
小太郎は絶対に引越の翌日、茜に逢いにいってるでしょう。
だって、いつも茜の望む回答を出し続けてきた小太郎だから。
そして荒ぶる心を持っているから、行動しないわけはない(笑)

久しぶりに逢って、少しずつ大人になっていくふたり。
高校生最初の遠距離デートはこんな感じではないでしょうか。

ロス中の気持ちを忘れないための「身勝手版 13話」でした。