「月がきれい」12話 それから その3 感想
「好きな人が、自分を好きになってくれるなんて…」
「奇跡だと思った…」
素晴らしい最終話でした。
きっと、この言葉のために全てが存在したのでしょう。
これを超える話はないと思えた決意の10話「斜陽」
付きバレして、ふたりが安心感に包まれた7話「惜しみなく愛は奪う」
恋に落ちる瞬間と告白を描いた3話「月に吠える」
これらを遥か遠くに追いやってしまった感のある最終話「それから」でした。
茜の乗った電車を見送る小太郎。
新しい街へ向かう茜。
ふたりの表情は遠距離になる寂しさと、これからも決して気持ちが変わることのないそれぞれの想いが伝わってくるようです。
小太郎と千夏のこと
茜は小太郎に千夏に告白されたことを「何で…。言ってくれなかったの…」と責めるように言ってしまいました。
遠距離… 小太郎の光明受験… そして受験失敗… バイトして始発で逢いにくるという小太郎… そしてお姉ちゃんのひと言…
その言葉を否定したいけど、小太郎君にこれ以上の無理をさせてたら…
千夏が小太郎のことが好き。それは以前から知ってたことでした。
でも小太郎と遠距離になる茜の心は複雑だったと思います。
以前なら小太郎を取られたくない気持ちが勝っていたでしょう。でもいまは…
小太郎に自分のことで無理ばかりさせるのはつらい…
小太郎は千夏と付き合ったほうが幸せなんじゃないか…
千夏は親友だし良い娘だし…
小太郎にふさわしいのは千夏なんじゃないか…
いつも小太郎は自分から行動して変えてゆこうとする。
緊張しやすい、自己肯定感が低い茜は自分が何もできないことに悩み、千夏の小太郎への告白をきっかけにこんなことを考えていたのかもしれません。
千夏の気持ち
千夏はおそらく小太郎に対する想いにケジメを付けることができたのでしょう。
「私、告白していい? ちゃんと諦めたいから」と茜に言った夏から長い間その気持ちを秘めていたわけです。
とにかく何をするにも全力の千夏。不安に流される茜とは対照的な性格です。
そして今度は、茜と小太郎のために尽くします。
投稿小説のことを何故知ったのか。ろまん君から聞いたというのが一番可能性がありそう。千夏本人は小説読まなそうだし…
小説「13.70」を見つけたこと。それは奇跡のような偶然だったかもしれません、しかし今にも折れそうな茜の心を支えてくれた偶然でした。
茜は千夏に「小太郎くんに会いたい」と言ったのでしょうか。
小太郎の話はしなくとも「13.70」を読んだ茜の気持ちが千夏にはわかります。
もちろんそれを書いた小太郎の気持ちも。
塾で「安曇君もガンバレ」と背中を押した千夏。ふたりのために再び背中を押してくれたLINEでした。
走る
茜に大切なことを伝えるために走る小太郎
かっこ悪い走り方…
でも茜に大切なことを伝えるために走る小太郎の姿はとてもきれいでした。
桜の花びらが三年の始業式のことを思い出させてくれます。
電車に追いついた小太郎は、初めて茜に本当に伝えたい言葉を叫びました。
「13.70」
しかし「13.70」って明らかに茜へのラブレターですよね(笑)
10話のプロポーズは茜だけに向けたものでしたけど、このラブレターは世界に向けてネットで発表しちゃったわけですよね(笑)
恥ずかしいから小説は古本屋のお兄さんにしか見せたことなかったのに…
いやぁ、茜が喜んでくれれば何も言うことはありません(笑)
心咲、節子、美羽
「みんな、ずっ友だから」と涙声の美羽。心咲は小太郎を呼んで茜とツーショットを撮ってあげる。小太郎と別れた後、茜の表情は不安げです…
最後まで優しくイジる姿が良いですね。 永原、金子、稲葉はどうなった。
ろまん君と小笠原
相変わらずの関係。ろまん君が小説投稿サイトのことを小太郎に教えてくれます。
ところで、ろまん君は本当に「読モ」になるの… そういえば涼子先生は?
小太郎
ずっと袋に入ったままだった「小林さんちの台所事情」が本棚に並んでいます。
もう純文学とかラノベとか、こだわりがなくなったのでしょう。
…大切なのは自分の気持ちを人に伝えるために書くこと。
ろまん君や小笠原君も「13.70」を読んでくれたのでしょうか
古本屋のお兄さん
どんな経験でも小説のネタになる。小太郎のやっていることを否定することなく他の方法を教えてくれたり、優しくて最後まで頼りになる人でした。
1話で小太郎に「いろんな本、読んだらいいよ」とも言ってくれました。
葵
クールなそぶりは涙もろさを見せないため。
比良君
最後までさわやかスポーツマン。「また競技場で」
茜のお父さんとお母さん
せっかく友だちが来たのだから電車で行きなさいと薦めます。 ナイスアシスト!
お姉ちゃん
超現実的発言が多いのも、妹の悲しむ姿を見たくないから。
やさしいお姉ちゃんです。
引越の時いなかったのは、千葉に先乗りしていたためでしょうか…
見返したら引越の時、声がしてました。「お母さん、業者さん呼んでるよ」