カピバラの備忘録

アニメと音楽と読書など。少し自分の考えをまとめて見たい気分になりました

「月がきれい」感想 …思春期の終わり

最終話まで見終わってあらためて振り返ると密度の濃い物語でした。
言葉で多くを語らなかったりするので、ちょっとした表情やしぐさ、脇役の言葉からふたりの気持ちの揺れ動きを推測する。あとLINEのやり取りで感情表現をしたり。


とにかく情報量が多くて、見返すたびに発見があるので、しばらく思いついたことを書き散らかしてみます。

この物語の骨子は思春期の小太郎と茜が、知り合ってからの一年での成長過程を描いたと思います。ふたりは中学三年生の春からみるとずいぶん変わりました。

変わる小太郎

小説を書いている。友人や身近な人は知っているが、読まれるのは恥ずかしい。
でもいつか新人賞を取って自分の作品を発表したい。

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思春期によくある感情でしょう…
「誰にも自分のことを言えない、それでも自分をわかって欲しい」

「水野さんはそのままでいい、と思う」
小太郎の言葉は茜の心に届き安心させました。そして小太郎は少しずつ変わります。

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茜と出会って恋に落ちたこと、茜に自分から「付きあって」と言ったこと…

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自分の気持ちが相手に伝わる、それはある時は嬉しくて、ある時は嫉妬に苛まれ、ある時は勉強も頑張ることができる。

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小説の才能に悩む小太郎でしたが、茜と付き合ううちに人を動かすのは純文学とかラノベとか関係ない。文学賞を受賞することでもない。
自分の気持ちを伝えることだと気がつきました。

小太郎と茜のことを書いた小説「13.70」
それは賞が目的ではなく、初めて人に読んで貰うために書いた小説です。20170701171428


最終章に、茜にいままで一度も伝えていなかった言葉を書きました。
いま小太郎はその大切な言葉を直接伝えるために走ります。 20170701174333


それは祭りの夜、比良に言われてしまった言葉…
本当は自分が茜に一番最初に言いたかった…


だからLINEでも小説の言葉でもなく、小太郎は茜に直接伝えたかった。
「大好きだ」と…20170701175029


叫んだ時、小太郎の気持ちは外の世界に開かれたのでしょう。
これからも「大好きだ」と伝えていきたい。茜と同じ未来を歩むために…

 

変わる茜

緊張しやすい、流されやすい、自己肯定感も低い。
友だちとは普通に喋れるけれど、初対面や親しくない人とはいつも手探り…


体育祭の後「水野さんは、そのままでいいと思う」と言ってくれた小太郎。
そのひと言が茜の気持ちを楽にしました。
小太郎の好きなところを聞かれると「目立たないけど一緒にいると安心する」と答えます。

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そして小太郎と深く繫がるほど茜の感情の起伏が大きくなります。
遊園地、風鈴、お祭り… 沢山の喜び。
誤解、すれ違い、遠距離… 沢山の不安。

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いつも小太郎ばかりに無理をさせている…
自分がどうしていいかわからない…
小太郎のために何もできない自分への哀しみ…
涙と、茜からのキスの多さは不安定な気持ちの現れでしょう。
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でも「どうしたらいいかわからない」哀しみは、茜が自身を変えたいという気持ちの裏返しです。小太郎のために…

「13.70」を読み終わり、小太郎となら一緒に未来を歩んでいける思いました。
どうしていいかわからず泣いていた茜が小太郎となら「ずっと一緒に歩いて行けると」信じられました…


それは小太郎の「大好きだ」が届いたから…

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ふたりの願い

氷川神社に書いたふたりの願い事。「ずっと一緒にいられますように」
光明受験を決めた夜の小太郎の言葉。「ずっと一緒にいたいし」

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そしてこれからは「ずっと一緒にいるために」少しずつ変わってゆくのでしょう。
自分の好きなことを頑張り、相手のことを思いやりながら。

平成29年(2017年)の小太郎と茜

光明高校受験対策問題集から、ふたりは28年入学なので現在高校二年生…

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 EDのLINEで「ラブラブ喧嘩」が冬服です。
時系列からして、もしかしたら丁度いま、こんな感じでしょうか(笑)20170630184537

ラブラブ喧嘩

どんな喧嘩かと思ったら… ただの惚気でした(笑)

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ふたつの「べにっぽ」と「つづく」

新OP場面も最終話が終わって見ると溜息をついてしまいます。

ふたつの「べにっぽ」は最終話のラストを。
小説「13.70」の下に写る「つづく」の文字はEDのLINEネタを。
小太郎と茜の「それから」の物語をこれだけで暗示するなんて…

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「月がきれい」12話 それから その3 感想

「好きな人が、自分を好きになってくれるなんて…」
「奇跡だと思った…」

素晴らしい最終話でした。
きっと、この言葉のために全てが存在したのでしょう。

これを超える話はないと思えた決意の10話「斜陽」
付きバレして、ふたりが安心感に包まれた7話「惜しみなく愛は奪う」
恋に落ちる瞬間と告白を描いた3話「月に吠える」


これらを遥か遠くに追いやってしまった感のある最終話「それから」でした。

 

茜の乗った電車を見送る小太郎。
新しい街へ向かう茜。


ふたりの表情は遠距離になる寂しさと、これからも決して気持ちが変わることのないそれぞれの想いが伝わってくるようです。

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小太郎と千夏のこと

茜は小太郎に千夏に告白されたことを「何で…。言ってくれなかったの…」と責めるように言ってしまいました。

遠距離… 小太郎の光明受験… そして受験失敗… バイトして始発で逢いにくるという小太郎… そしてお姉ちゃんのひと言…
その言葉を否定したいけど、小太郎君にこれ以上の無理をさせてたら…

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千夏が小太郎のことが好き。それは以前から知ってたことでした。
でも小太郎と遠距離になる茜の心は複雑だったと思います。

以前なら小太郎を取られたくない気持ちが勝っていたでしょう。でもいまは…


小太郎に自分のことで無理ばかりさせるのはつらい…
小太郎は千夏と付き合ったほうが幸せなんじゃないか…
千夏は親友だし良い娘だし…
小太郎にふさわしいのは千夏なんじゃないか…

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いつも小太郎は自分から行動して変えてゆこうとする。
緊張しやすい、自己肯定感が低い茜は自分が何もできないことに悩み、千夏の小太郎への告白をきっかけにこんなことを考えていたのかもしれません。


千夏の気持ち

千夏はおそらく小太郎に対する想いにケジメを付けることができたのでしょう。
「私、告白していい? ちゃんと諦めたいから」と茜に言った夏から長い間その気持ちを秘めていたわけです。

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とにかく何をするにも全力の千夏。不安に流される茜とは対照的な性格です。
そして今度は、茜と小太郎のために尽くします。

投稿小説のことを何故知ったのか。ろまん君から聞いたというのが一番可能性がありそう。千夏本人は小説読まなそうだし…

小説「13.70」を見つけたこと。それは奇跡のような偶然だったかもしれません、しかし今にも折れそうな茜の心を支えてくれた偶然でした。

 

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茜は千夏に「小太郎くんに会いたい」と言ったのでしょうか。
小太郎の話はしなくとも「13.70」を読んだ茜の気持ちが千夏にはわかります。
もちろんそれを書いた小太郎の気持ちも。

塾で「安曇君もガンバレ」と背中を押した千夏。ふたりのために再び背中を押してくれたLINEでした。

走る

 茜に大切なことを伝えるために走る小太郎

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かっこ悪い走り方…
でも茜に大切なことを伝えるために走る小太郎の姿はとてもきれいでした。
桜の花びらが三年の始業式のことを思い出させてくれます。

電車に追いついた小太郎は、初めて茜に本当に伝えたい言葉を叫びました。

「13.70」

しかし「13.70」って明らかに茜へのラブレターですよね(笑)
10話のプロポーズは茜だけに向けたものでしたけど、このラブレターは世界に向けてネットで発表しちゃったわけですよね(笑)
恥ずかしいから小説は古本屋のお兄さんにしか見せたことなかったのに…

いやぁ、茜が喜んでくれれば何も言うことはありません(笑)

心咲、節子、美羽

「みんな、ずっ友だから」と涙声の美羽。心咲は小太郎を呼んで茜とツーショットを撮ってあげる。小太郎と別れた後、茜の表情は不安げです…

最後まで優しくイジる姿が良いですね。 永原、金子、稲葉はどうなった。

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ろまん君と小笠原

相変わらずの関係。ろまん君が小説投稿サイトのことを小太郎に教えてくれます。
ところで、ろまん君は本当に「読モ」になるの… そういえば涼子先生は?
 

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小太郎

ずっと袋に入ったままだった「小林さんちの台所事情」が本棚に並んでいます。
もう純文学とかラノベとか、こだわりがなくなったのでしょう。
…大切なのは自分の気持ちを人に伝えるために書くこと。


ろまん君や小笠原君も「13.70」を読んでくれたのでしょうか

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古本屋のお兄さん

どんな経験でも小説のネタになる。小太郎のやっていることを否定することなく他の方法を教えてくれたり、優しくて最後まで頼りになる人でした。
1話で小太郎に「いろんな本、読んだらいいよ」とも言ってくれました。

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クールなそぶりは涙もろさを見せないため。

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比良君


最後までさわやかスポーツマン。「また競技場で」

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茜のお父さんとお母さん


せっかく友だちが来たのだから電車で行きなさいと薦めます。
ナイスアシスト!

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お姉ちゃん

超現実的発言が多いのも、妹の悲しむ姿を見たくないから。
やさしいお姉ちゃんです。
引越の時いなかったのは、千葉に先乗りしていたためでしょうか…
見返したら引越の時、声がしてました。「お母さん、業者さん呼んでるよ」
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「月がきれい」12話 それから その2 感想

それから

 

最終話のサブタイトルが発表されたとき、小太郎と茜の未来を少しで良いから描いて欲しいなと思っていました。

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10話 バイト代が出てようやく逢いに行ける小太郎。嬉しくて眠れないふたり

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8話 どっちが好きかでラブラブ喧嘩(笑)。もーぉー

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11話 茜の家で勉強会。でも実は「いちゃラブ」。母は何でも知っている(笑)

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9話 部活をがんばりすぎて熱が出た茜。やさしい、やさしい小太郎

 

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1話 大学生になった茜がコンパに参加。茜が可愛いから浪人中の小太郎は心配…

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3話 サークル活動で最近連絡のない茜が心配。茜は平謝り

 

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4話 ふたりだけの旅行。厳しい母を気にする小太郎に「女子かよ」と茜(笑)

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6話 小太郎は公務員志望? ぎゅーーと愛情たっぷり。実は首絞め、ウケるー

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5話 もし自分が転勤したらと聞く茜。やっぱり遠距離は不安…茜メガネっ娘

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2話 両親に結婚の報告?「酔っ払いには慣れてるから」酔っ払いとは茜のこと?

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7話 結婚披露宴の打ち合わせに遅れた小太郎。必死にご機嫌取り

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そして待望の…

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いやいや(笑)まさか結婚だけでなく赤ちゃんまで見せていただけるとは(笑)
LINEを時系列に見てみると、ふたりが歩んできた道のりがわかります。

美しい月を見上げて物語は終わりました。
いくら最後で心が重なったといっても、春から新高校生。若いふたりです。
一瞬「ふたりの未来はご想像にお任せします」ENDを予感しましたが、このネタバレで安心しました。
なにせ心をえぐられながらも、時には中学生目線だったり、親目線になったり。
もう「はっぴいえんど」しか見たくなかった(笑)

彩音お姉ちゃんはまだ独身なのか…

もう少し続きを書きます。

「月がきれい」12話 それから その1 感想

出会いから一年間の物語

小太郎に届いた光明高校の不合格通知。

 茜は「めちゃくちゃ頑張ってくれたし、それだけで十分。ありがとう」と小太郎を励まします。でもふたりとも元気がありません。

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小太郎は古本屋のお兄さんに、この経験は無駄にならない。「書いて見たら、少しは気が楽になるかも」といまの気持ちを書くことを薦められます。

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その日の夜。お姉ちゃんは遠距離になる茜に、
彩音「茜が泣くとこ見なくないなぁ」「別れたら?」
茜「姉ちゃんの意地悪っ」

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茜の不安は大きくなります。

 

小太郎は併願で受けた市立高校の合格発表、結果は見事合格。
同じく合格した千夏との帰り道…。真剣な眼差しの千夏。ついに小太郎に告白します。

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しかし小太郎の返事は「ゴメン」
心の整理が付き「言えて良かった、高校行ってもよろしく。じゃあまたね」と明るく立ち去る千夏。

偶然にもそこは茜に光明受験を伝え、ずっと一緒にいることを約束した場所でした。

 

そして茜に千夏からのLINE。千夏の合格と小太郎に告白してフラれたことを知る茜。その後の小太郎のLINEで卒業式の翌日、遊びに行く約束をしますが、笑顔の奥に影が見え隠れします。


卒業式の翌日、待ち合わせの場所。
やや不安げな茜ですが、小太郎が茜の手編みマフラーをしているのを見て少し笑顔に。

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小太郎はバイトして毎週始発で会いに行くと言います。
「今までと変わんないよ、LINEもあるし」

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茜「小太郎くんばっかりつらいのなんて…」
小太郎「平気、平気」
茜「私も貯金あるし…」
小太郎「無理しなくっていいよ」


茜「そうじゃなくて」

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茜「コクられたの? 千夏に聞いたよ。何で…。言ってくれなかったの…」
小太郎「それは…。 俺、断ったよ」
茜「言わない? 普通…。心配になるもん」

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千夏の告白をきっかけに高まる不安…
遠距離になってしまうこと…
同じ高校に通えないこと…
光明受験で挫折を味わせてしまったこと…
バイトして毎週始発で逢いにくると言ってくれること…
小太郎ばかりに負担をかけてしまうこと…
なによりもお姉ちゃんに言われた「別れたら?」が現実になるかも知れない不安…

 

目から涙が溢れます。一度は顔を上げ、こらえようとしますが…

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茜「私…、ずっと…不安で…」「小太郎くんに、迷惑ばっかり…。それが、一番つらい…」「どうしたらいいの…」

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小太郎は何も答えられません。遠距離になること、これからのこと、それは小太郎も持っている不安だから。

 

涙のキスは、押し潰されそうになる不安から逃れるため…

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そのまま走り去り、泣きじゃくる茜。
…「茜の泣くとこ、見たくないなぁ」それは誰にも見せることのできない涙。

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茜を追いかけることができなかった小太郎は、祭りの夜とは違う無力感に包まれます。何も言葉が見つからない…
小説をネットに投稿をはじめた小太郎ですが、本当に読んでもらいたい相手に伝えることもできない。

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「もう終わりかもしれない…」それを決して口にすることはありません。
しかし、茜と小太郎の心には、そんな影が忍び寄っていたことでしょう。


引越の日、窓辺に「べにっぽ」を置いたまま見つめる茜。
このまま小太郎への想いと一緒に置いて行くつもりなのでしょうか。
お母さんの「忘れ物ない~」の声も茜には遠く聞こえます。

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お別れを言いにきた千夏と葵と別れを惜しむ茜。


千夏「安曇君は」
茜は「あぁ、えっとね…」
影を落とした表情は哀しみなのか、諦めなのか


千夏「これ見て。見つけちゃったんだ、私」
千夏のスマホの画面には小説「13.70」 作者は安曇治。

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それが小太郎のものだとすぐに気がつく茜。

  運命の神様がいるとすれば、それはきっとイタズラ好きなヤツだと思う。

  彼女は陸上部で100メートルの選手だった。
  自己ベストを更新したときは、僕も自分のことのように喜んだ。

  僕は文芸部の部長で、彼女の走る姿を見ながら、筆を走らせた。
  作品が世に出ることはなかったけど、君はすごいと褒めてくれた。

  神社で初めて会った日は、緊張してなにも喋れなかった。

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茜「これ…、私と小太郎くんのこと…」


「13.70」終章を投稿した小太郎は、お囃子の稽古へ。

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そして休憩時間に見た、読者のコメントのひとつに…
投稿者:茜「この先はどうなるんですか」

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小説にはおそらく終業式翌日のことまでが書かれていたのでしょう。
茜が小説を読んでいた…
それは神様のイタズラなのか、それとも奇跡が起こったのか。
茜がこの先のこと、小太郎の気持ち、ふたりの未来を知りたがっている。


急いで茜の家に向かう小太郎ですが、千夏のLINEで茜はすでに改札を通ったことを知ります。LINEではなく言葉で大切なことを伝えるために電車を追いかけ走ります。

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怒濤に飛び込む思いで愛の言葉を叫ぶところに、愛情の実態があるのだ
 太宰治「新ハムレット」より

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新しい街へ向かう電車の中で投稿されたばかりの「13.70」終章を読む茜。


  どんなに遠く離れたとしても、
  僕の気持ちは変わらないって伝えたい。
  知らない街へ向かう君に…

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そこには小太郎の茜への想いと決意が描かれていました。それを読んだ茜の目からは再び涙が溢れます。しかしそれは不安に押しつぶされての涙ではありません。

茜の乗る電車に追いついた小太郎…
そして小太郎の叫ぶ言葉と、茜が読む小説が重なる。


小太郎「大好きだぁぁー」

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小太郎が線路に架かる橋の近くに来ていたことを茜は知りません。
姿も見えなかったでしょう。
今日、会うことができなかった、不安で押しつぶされそうになったふたり。


この瞬間、すれ違いそうになったふたりの心は再び重なりました。
嬉し涙を流す茜のバッグには、一度は置いてこようと考えていた、べにっぽが…

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ようやく車窓の風景を見つめる茜。そこには新しい街で始まる高校生活と、小太郎とふたりで歩む未来が見えているのでしょうか…

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小太郎

「はじめての恋だから…、まだ何も知らなかった」
「すごい緊張して、手の繋ぎかた、キスの仕方…」
「友だちにも秘密で、恥ずかしくて…」

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「いつもいつも…、どうしていいかわからなくて」
「だけどあの時、勇気を出して伝えてくれたから…」
「ずっと一緒に歩いて行けるって、信じられた…」

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小太郎「好きな人が、自分を好きになってくれるなんて…」

茜「奇跡だと思った…」

 

茜色さす空にはきれいな月が浮かんでます。
川辺には桜が咲き始めました。
小太郎と茜、ふたりが出会ってからもうすぐ一年が経ちます。

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そして物語はエンディングへ…
 
 

「月がきれい」11話 学問のススメ 感想

前回「親を説得する」と言った小太郎ですが、なにか考えがあったのでしょうか…
ありませんでした(笑)

自分の偏差値よりかなり上の学校を受験すると言われたら、普通反対しますよね。

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しかし小太郎は自分の本気を見せることで、光明高校の受験を許してもらい、親に見送られ千葉へ向かいます。

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太宰も二度登場(笑)

前回が不安、嫉妬、後悔、和解と濃密だったせいか、今回は単純。
そりゃもうプロポーズしちゃいましたから(笑)余計なことはいりません。

その代わり、いちゃラブなシーンが沢山。

茜「二人きりで会うの久しぶり」(可愛い)

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茜「あの…、メリクリ」(可愛い)

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茜「あっ、開けてもいい」(可愛い)

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茜「あっ、あの…。ごめんね下手くそで」 両手をふりふり(可愛い)

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茜「はじめて…、編んだんだ」 両手をぱたぱた(可愛い)

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小太郎「ありがとう、茜ちゃん」茜「うん」(可愛い)

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そのあと思い出の氷川神社に移動
人型流し(可愛い)

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絵馬の中を歩く(可愛い)

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夏にお参りして以来(可愛い)

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おみくじを引いて(可愛い)

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茜からキス待ち。ぎこちなさがなくなりました(可愛い)

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小太郎が優しく包容。

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茜の哀しい姿が多かった前回でしたが(その代わりラストは衝撃的)
今回は可愛い姿が満載でした。
できることならここで物語のエンディングにしたいところ。

小太郎の母親

口うるさく言うけど我が子を思ってのこと。一般的には良い親なのでしょう…。
みんな褒めてるし、好意的ですよね。でもねぇ…


光明高校の受験を反対していたのは相談がなかったから? 
無謀なチャレンジだから?
その結果本来の学力に見合った高校にも行けなくなるのを心配したのでは?
なのに頑張っている姿を見たら考えを変えるなんて…(無謀には変わりない)
小説を頑張っている小太郎を見ても批判しかないのに…

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結局は勉強を頑張っている我が子が好きなだけなのでは? と思ってしまいます。

ちょっと脱線しますが運動部と文化部の違いも関係するかもしれません。
競技にもよるでしょうがスポーツは結果がどうあれ頑張ったと褒められる。文化部の場合は入賞など結果を出さないと遊んでいると思われる。

普段から小太郎に対して勉強させたいなら、小説家や出版方面の道を選ぶために何が必要かを教えることが良いと思いますが。

まあ批判的にとる私が少数派なのだと思います。しかたないことかもしれませんけど…

お姉ちゃん

「いまどき、手編みのマフラー?」「うまくいってんだ」

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「やめときなって、一生付き合うわけじゃないのに」
「別れたらどうすんの、責任取れんの」「気持ちはわかるけどさぁ」

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とても現実的なお姉ちゃん。でも否定できません。
だから茜も「大丈夫」とか「別れないもん」としか返せない…

心咲と節子

小太郎が茜と同じ高校を受験することをクラス中に知られて。
「うっそ、マジでぇ」「すごくなぃ」「ラブラブすぎでしょ」「結婚しちゃえ」
はい、全員思ってます(笑)

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つい小太郎と目が合って、顔を背ける茜。

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心咲と節子の冷やかし方はいいですね。良い友だちだと思います。プロポーズのことを知ったらどうなるんだろう(笑)そういえば美羽がいません(気になる)

ろまん君と小笠原

ほとんどカツアゲ風景(笑)

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こちらもいい友だちです。

千夏

茜の合格をふたりで喜び、「安曇君もガンバレ」と背中を押します。

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でも相変わらず寂しいそうな目で小太郎を見つめます。

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千夏の想いを小太郎が知ることはあるのでしょうか?

 

さていよいよ次回は最終回。
ここまできたらどんなにベタと言われても、安直と言われても良いです。
ふたりに幸せな未来を示して欲しいと切に願います。(すっかり親目線)

 

そう、「はっぴいえんど」そのままに…

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「月がきれい」10話 斜陽 その2 感想

二度目の涙

茜が遠くへ行ってしまう不安…
お祭りの数日前。塾帰りに一緒になったふたり。


茜「ごめんね」
小太郎「なんで謝るの?」
茜「だって、遠くなるもの…。どうしたらいいか、わかんなくて」
小太郎「茜ちゃんのせいじゃないよ。遠くなっても、平気だから」
茜「うん…、ありがとう」

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一般で同じ学校受けようかな。めちゃくちゃ遠いけど、と冗談めかして言っていた小太郎ですが、茜と同じく「どうしたらいいか、わからない」が本音だったのでしょう。
茜が同じ塾に通うことになって笑顔で一緒に帰ります。

祭りが終わった夜

小太郎は茜の引越で気持ちに余裕が無くなっていたこと、そして比良の告白で茜に冷たく当たってしまったことで、どうしようもない気持ちで一杯になります。

茜にLINEすることもできず、気持ちをどこにぶつけたら良いのか…。紐パンチで図らずも灯りが消え、そのままベッドに倒れ込む小太郎。後悔の念からひとり嗚咽します。

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同じ頃、ベッドの中でLINEの画面を見続ける茜。

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6話「走れメロス」でそれぞれが赴いた大会と出版社で挫折した夜のLINE。
「会いたい」「わたしも」
茜が欲しいときには必ず望むLINEを送ってきた小太郎。それも今夜はありません。

 

学校で会っても哀しそうな表情で目をそらす茜。小太郎も寂しそうに見つめるだけです。

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学習塾の夜

小太郎と同じ塾に通うことになった茜は、そこに光明高校の受験問題集があることに気がつきます。
その瞬間、駆け出して小太郎を追いかける茜。

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茜「これ、リクエストがあったって…。小太郎君なの…」

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小太郎「受けるから…」「親にもまだ言ってなくて…」
小太郎「たぶん、反対される…。けど、説得する。親に話してから言うつもりで…」

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茜「うん」
小太郎「ちゃんと将来とか…」
茜「うん」
小太郎「小説のこととかも…」
茜「うん」
小太郎「考えて決めた…」

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茜「うん」

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小太郎「ずっと、一緒にいたいし…」「本気だから…」

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茜「ありがとう…、嬉しい…」
小太郎「この前、ごめん…」

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茜「私も、ごめんね…」「しゃべれなくて…。もう嫌われたかなと思って…」
小太郎「そんなことないよ」

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「嬉しい…」と言って小太郎に駆け寄る茜。ですが小太郎は肩すら抱くことができません。

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小太郎は「この前はごめん…」と言います。しかしこれは祭りが終わった夜に伝えたかった言葉。でも伝えることができなかった…

でも結局、茜の行動がきっかけでようやく謝ることができた。

 

「しゃべれなくて…。もう嫌われたかなと思って…」
(小太郎君に比良のことをきちんと話すことができなくて…。だからもう嫌われてもしかたないと思っていた)

「そんなことないよ」は自分の小ささゆえの嫉妬心が原因だった。
なのに責任を感じてしまっている茜に自分はどう償えば良いのか…。

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茜の引越(物理的な距離)と比良の告白(心の距離)の二つの不安に押しつぶされ、自責と後悔の念に囚われる小太郎を、まさかの茜からのキスで解き放ちました。

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これは「惜しみなく愛は奪う」で、「彼女だから…。付き合ってんだ、俺たち」と宣言し、茜を比良からだけでなく不安やもやもやした気持ちから解放した小太郎。

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状況は違いますが、あの時の小太郎の役割を今度は茜が果たしました。

遊園地での付きバレ後、ふたりの安心した表情と、今回のキス後のふたりの表情は同じ優しさで包まれてます。

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 遠距離恋愛の不安。川越祭り、小太郎の舞に息を呑む茜。比良の告白。小太郎の嫉妬とすれ違い。そして決断と和解。密度の濃い「斜陽」の回でした。


中学生らしい嫉妬に焦がれる小太郎。中盤過ぎまでのイライラとハラハラを一気に吹き飛ばしたラストのキス。反則ワザとすら思える「Fragile」
大切なことを言葉で伝えることができたふたりでした。

惜しむらくはもう少し小太郎の心情を丁寧に描いて欲しかった…、OPを削っても良かったのではないかな。

 

しかし、「ずっと、一緒にいたいから」「本気だから…」
これ、誰がどう考えたってプロポーズですよね(笑)
嬉しいよね、茜。まだ中学三年なのに(笑)

 

もう小太郎が、光明の受験に合格しようが失敗しようが、遠距離恋愛になろうが、心の壁も距離もなくなったふたりは大丈夫だと思います。(太宰も何も言わなかったし)

しかし「ちゃんと将来とか…」「小説のこととかも…」「考えて決めた…」。
所詮中学生の考える将来です。小太郎はきちんと親を説得することができるのか。

事前と事後

何も言うことはありません。

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古本屋のお兄さん

小太郎の小説はそのままでラノベ好きにも通用すると言いますが、小太郎は微妙な表情。もしかしたら、このことも小太郎のもやもやに繫がっていたかも…

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「月がきれい」10話 斜陽 その1 感想

心のすれ違い

9話で小太郎は陸上部の仲間に祝福される茜に声を掛けず、競技場を去りました。
茜との距離がなくなった小太郎ですが、陸上部は自分の立ち入ることができない世界です。そしてその住人である比良…

「引っ越すかもしれない、」
茜が遠くの高校へ進学してしまう…、好きな人と離ればなれになってしまう…
このことで小太郎の心は不安でいっぱいになります。

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そして川越祭り。茜は陸上部のメンバーと遊びにきます。

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茜は大事な友だちのひとりとして変わりなく比良と接します、しかし比良は…


そして比良が茜に告白するところを、見てしまう小太郎。

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ふたりとも比良が茜のことを好きだったことは知っています。
比良は茜に告白して、自分の気持ちに整理がついたようです。


小太郎は茜にラインし、いつの間にかその場を立ち去っていました。

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小太郎の嫉妬

小太郎「さっき、比良といた?」
茜「あぁ、うん」
小太郎「ふたりだけ…?」
茜「そう、ゴミ捨てジャンケンで」
小太郎「ふぅ〜ん」
茜「えっ、なんで」

 

茜「小太郎くん、なんか怒ってる? 引越のこと?」
小太郎「違う!」
茜「だってそれしか」

 

茜は小太郎が不機嫌な理由がわかりません。

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茜「ねぇちゃんと言って、言ってよ…。せっかくのお祭りなのに…」

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小太郎「ほかの男子、むかつく。どうでもいいけど…」

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この時ようやく茜は小太郎が怒っている理由に気がつきます。


中学三年にしては少し幼さが残る茜。
茜にしてみれば比良という存在は大事な友だちのひとり。親しさも友だち以上のものではありません。


陸上部の「友だち」。その意味は茜と小太郎では違うものだったのでしょう。
友だちとしての親しさと、恋人としての親しさの違い…
心に余裕があればすぐわかるし、いつもの小太郎なら気にならないものだったのかもしれません。


ようやく小太郎に比良に告白されたこと、そして断ったことを伝えますが、すれ違ってしまったふたりの心は元には戻りませんでした。

 

小太郎も彼なりに感情をコントロールしようとしていたのでしょう。
明るく「いも恋、食べようか」と誘います。
(茜がさっき食べたことはおそらく知っていたのに…)

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でも…

風鈴デート 一緒に食べた「いも恋」も別々で…

遊園地 初めて一緒に食べた食事「たこ焼き」も小太郎ひとりで…

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稽古場で「彼女かぁ、これがぁ」と言われた時のはにかんだ笑顔。

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今夜は「そんなんじゃ、ないですから」といやそうに呟く小太郎。
少し驚いた表情で「安曇君、なんかいつもと違う…?」と尋ねる茜の不安な声。
小太郎くんと呼ぶことができなかった茜の気持ちは…

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「もう行くから」と言って、茜をおいて立ち去る小太郎。
少しだけ、ゆっくりと歩いて追う茜。

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後ろ髪を引かれ、振り向く小太郎の先には、もう茜の姿はありませんでした…

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誰も悪くないだけに、哀しいすれ違いとなりました。

負けるとわかっていても「勝負した」比良。
かけがえのない存在が遠くなる不安から、独善的になってしまった小太郎。
恋人が自分の異性の友だちをどう見ていたか、気がつかなかった茜。

考えてみると小太郎と茜は、恋に落ちるべくして付き合ったわけです。最初から心の奥にあるものが同じ、おそらく本質が近いもの同士です。

それに対して比良と茜は部活の仲間、つらい練習メニュー、自己ベストを出した喜び、苦楽をともにした仲間です。
だから彼は「自己ベストだせよ」の言葉にこだわったのでしょう。比良にとって茜との絆はそれだけですから。

でもそれは小太郎が持ち得ない絆です。
そして小太郎が立ち入ることができない世界の住人が持っている絆だった。

だからあれだけ茜と気持ちを重ねた小太郎なのに「陸上部比良」のことでは茜を信じることができず嫉妬してしまいました…

そして茜も小太郎が比良のことをどう思っていたかをようやく知りました。それは茜が考えるより遥かに大きな問題でした…

小太郎が去って行った哀しみ…
比良のことをちゃんと伝えられなかった後悔…
お祭りを涙で後にする茜…
再び舞台で舞う仮面の小太郎…

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そう、大切なことはきちんと言葉で伝えなければならない。何度でも… 何度でも…

 >続きます

比良くん

比良「好きだった、ずっと。一生懸命走っているとこ、いつも見てたから」
茜「ごめん、あの、私付き合ってる」
比良「知ってる。でも、なんで安曇…」
茜「えっ…」
比良「俺の方が絶対水野のことよく知ってる。ずっと、はじめから、ずっと一番好きだ!」
茜「ごめん…、私、比良は友だちだから…。大事だけど違う…」

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「なんで安曇…」言っちゃいました(笑)
言うだろうなとは思ってましたけどね。

いも恋

比良から告白の気配を感じた茜は包み紙の「恋」の文字に反応してしまいます。

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お祭り

小太郎に見とれる茜。

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千夏「えっ、今の安曇くん?」
茜「うん」
葵「へぇ、カッコいいじゃん」
茜「…うん」

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もう好きな人を話題にされても平気です。