「月がきれい」10話 斜陽 その1 感想
心のすれ違い
9話で小太郎は陸上部の仲間に祝福される茜に声を掛けず、競技場を去りました。
茜との距離がなくなった小太郎ですが、陸上部は自分の立ち入ることができない世界です。そしてその住人である比良…
「引っ越すかもしれない、」
茜が遠くの高校へ進学してしまう…、好きな人と離ればなれになってしまう…
このことで小太郎の心は不安でいっぱいになります。
そして川越祭り。茜は陸上部のメンバーと遊びにきます。
茜は大事な友だちのひとりとして変わりなく比良と接します、しかし比良は…
そして比良が茜に告白するところを、見てしまう小太郎。
ふたりとも比良が茜のことを好きだったことは知っています。
比良は茜に告白して、自分の気持ちに整理がついたようです。
小太郎は茜にラインし、いつの間にかその場を立ち去っていました。
小太郎の嫉妬
小太郎「さっき、比良といた?」
茜「あぁ、うん」
小太郎「ふたりだけ…?」
茜「そう、ゴミ捨てジャンケンで」
小太郎「ふぅ〜ん」
茜「えっ、なんで」
茜「小太郎くん、なんか怒ってる? 引越のこと?」
小太郎「違う!」
茜「だってそれしか」
茜は小太郎が不機嫌な理由がわかりません。
茜「ねぇちゃんと言って、言ってよ…。せっかくのお祭りなのに…」
小太郎「ほかの男子、むかつく。どうでもいいけど…」
この時ようやく茜は小太郎が怒っている理由に気がつきます。
中学三年にしては少し幼さが残る茜。
茜にしてみれば比良という存在は大事な友だちのひとり。親しさも友だち以上のものではありません。
陸上部の「友だち」。その意味は茜と小太郎では違うものだったのでしょう。
友だちとしての親しさと、恋人としての親しさの違い…
心に余裕があればすぐわかるし、いつもの小太郎なら気にならないものだったのかもしれません。
ようやく小太郎に比良に告白されたこと、そして断ったことを伝えますが、すれ違ってしまったふたりの心は元には戻りませんでした。
小太郎も彼なりに感情をコントロールしようとしていたのでしょう。
明るく「いも恋、食べようか」と誘います。
(茜がさっき食べたことはおそらく知っていたのに…)
でも…
風鈴デート 一緒に食べた「いも恋」も別々で…
遊園地 初めて一緒に食べた食事「たこ焼き」も小太郎ひとりで…
稽古場で「彼女かぁ、これがぁ」と言われた時のはにかんだ笑顔。
今夜は「そんなんじゃ、ないですから」といやそうに呟く小太郎。
少し驚いた表情で「安曇君、なんかいつもと違う…?」と尋ねる茜の不安な声。
小太郎くんと呼ぶことができなかった茜の気持ちは…
「もう行くから」と言って、茜をおいて立ち去る小太郎。
少しだけ、ゆっくりと歩いて追う茜。
後ろ髪を引かれ、振り向く小太郎の先には、もう茜の姿はありませんでした…
誰も悪くないだけに、哀しいすれ違いとなりました。
負けるとわかっていても「勝負した」比良。
かけがえのない存在が遠くなる不安から、独善的になってしまった小太郎。
恋人が自分の異性の友だちをどう見ていたか、気がつかなかった茜。
考えてみると小太郎と茜は、恋に落ちるべくして付き合ったわけです。最初から心の奥にあるものが同じ、おそらく本質が近いもの同士です。
それに対して比良と茜は部活の仲間、つらい練習メニュー、自己ベストを出した喜び、苦楽をともにした仲間です。
だから彼は「自己ベストだせよ」の言葉にこだわったのでしょう。比良にとって茜との絆はそれだけですから。
でもそれは小太郎が持ち得ない絆です。
そして小太郎が立ち入ることができない世界の住人が持っている絆だった。
だからあれだけ茜と気持ちを重ねた小太郎なのに「陸上部比良」のことでは茜を信じることができず嫉妬してしまいました…
そして茜も小太郎が比良のことをどう思っていたかをようやく知りました。それは茜が考えるより遥かに大きな問題でした…
小太郎が去って行った哀しみ…
比良のことをちゃんと伝えられなかった後悔…
お祭りを涙で後にする茜…
再び舞台で舞う仮面の小太郎…
そう、大切なことはきちんと言葉で伝えなければならない。何度でも… 何度でも…
>続きます
比良くん
比良「好きだった、ずっと。一生懸命走っているとこ、いつも見てたから」
茜「ごめん、あの、私付き合ってる」
比良「知ってる。でも、なんで安曇…」
茜「えっ…」
比良「俺の方が絶対水野のことよく知ってる。ずっと、はじめから、ずっと一番好きだ!」
茜「ごめん…、私、比良は友だちだから…。大事だけど違う…」
「なんで安曇…」言っちゃいました(笑)
言うだろうなとは思ってましたけどね。
いも恋
比良から告白の気配を感じた茜は包み紙の「恋」の文字に反応してしまいます。
お祭り
小太郎に見とれる茜。
千夏「えっ、今の安曇くん?」
茜「うん」
葵「へぇ、カッコいいじゃん」
茜「…うん」
もう好きな人を話題にされても平気です。