「月がきれい」2話 一握の砂 感想
お互いに意識しはじめた小太郎と茜
1話の背中ぱんぱんは思春期の男の子にしてみれば強烈ですよね。
そりゃ意識もしますって。
体育祭本番の日。運動が苦手らしい小太郎には受難の日です。
一方の陸上部にとっては活躍し甲斐のある日ですが、茜はいつも通り緊張しっぱなし。
いつものマスコットをもみもみしながら気分をほぐしています。
小太郎はといえば茜の走っている姿に感動し思わず頬を赤らめます。
そんな茜とものすごく自然な会話をしている比良君。LINEを交換しただけの小太郎はそんなふたりを羨ましいというか、自分を違う世界の人間のように見つめます。
さて小太郎の出場する種目は200m走。奇しくも陸上部部長・比良君と同組という悲運。太宰で現実逃避しながら(笑)恥をかいて終了。
当然、思いっきり比良君と差をつけられてしまう小太郎。でも周りからは比較対象にもされていないのがまた悲しい…。
でもそのおかげで7話のカタルシスが得られるのですけどね(笑)
そんな中、お父さんのプレッシャー発言でまた緊張した茜。
さらにイモのマスコットを落としてしまい失敗続きで体育祭を終えてしまいます。
落ち込む茜を励ます比良君。
「本番じゃなくて良かった。予選では本気出せよ、県大会狙えるんだから。水野なら出来るって」(相変わらずの残念発言)
でも比良君の前では気丈にみせる彼女ですが、そのあと寂しそうな表情になります。
その後教室で探し出したマスコットを茜に手渡しする小太郎。
喜びと安心のあまり早口でしゃべり出す茜の「ホント駄目だよね、あたし」という言葉に対して、「恥ずかしくない、水野さんはそのままでいいと思う」
そのあとの茜の安心した表情。比良君の時とは大違いですね。
同じ部員として小太郎より遥かに親密な関係であるはずの比良君の言葉はいつも表面的なもので、少しも茜の心に寄り添う事がない…。そして水野さんの心から欲しかった言葉を掛ける小太郎。
小太郎は文芸部だけあって、いつも自分の内面に自分なりに向き合っていた。茜はスポーツ少女なのだけど緊張しやすさから、いつも自分のメンタルと向き合っていた。
おそらくこのふたりは本質が近しい者なのだけど、陸上部と文芸部という壁、違うクラスだった壁のためにいままで気がつくことがなかったのでしょう。
そして自分のメンタルの弱さにどう対処してわからなかった茜の答えを小太郎は持っていたのだと思います。
見ている側としては比良君と小太郎を比較対象と考えるのだけど、茜からするとまったく比較対象としていないのがわかります。
小太郎と水野さんの間にはこの体育祭で確かな絆の様なものが生まれました。
終わり近くのふたりのLINEシーンでも明らかに1話より親密感がましているのが微笑ましいですね。
そして小太郎は誰にも読ませたことのない小説を古本屋のお兄さんに読んでもらいます。自分の言葉が人に影響を与えたことで、自分も人から影響を受けました。
(太宰、破れたり)
でもお似合いカップルとして比良君と茜をくっつけようとする同級生や陸上部員たち。
茜っちの心底迷惑そうな顔がこのあとの比良君の運命を暗示しているようでいたたまれません(笑)